(ナレーション:市原悦子さん)












・・・昔・・・利根川のほとりに、
加納新田(かのうしんでん)と
いうところがあった。










その加納新田に近隣の河童の親分衆の
総元締として君臨していた・・・・女親分の
ねねこ河童という河童がおった。











利根の川風が静かに吹き抜ける
夏の終わり・・・


近隣の主だった河童の親分衆が、
立崎(たつざき)の渡し舟の上に
集まった。











まず上州赤城(じょうしゅうあかぎ)の
忠治(ちゅうじ)河童、








佐原(さわら)の繁三(しげぞう)河童、








江戸の長兵衛(ちょうべえ)河童、








潮来(いたこ)の伊太郎河童、








伊豆の佐太郎河童、









そして・・・清水港は清水の
次郎長(じろちょう)河童。















と、まあ・・・名前を聞いただけでも
震え上がるような親分河童たちが
勢揃いした。


そうしてそれより一段高い船先に、
でんと座っているのが・・・











総元締(そうもとじめ)の女親分・・・
ねねこ河童じゃった。








「元締め、一同揃いました。」








「今夜は何か重大な発表が
あるとのこと・・・」









「・・・一体何があったので・・・
ございます・・?」











「誰か・・・裏切り者でも、
出ましたか・・?」










「いいえ、そうではございません。」












「・・・それともいよいよ人間どもと、
一大決戦をやることにしましたか?」









「それならすぐに、河童数を
揃えますが?」








「それにゃあ・・・西や北の親分衆も
仲間に入れにゃあなるまい。。」









「元締め・・・ほんに人間どもと
戦うのですかぁ・・・?」










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