深んぼのすげがさ

(すずさんから、メールにて若干内容の補足(水色部分)をしていただきました。
すずさん、有難うございました。)


254 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・投稿日: 01/10/19 16:37


ある村に、他所から若い嫁さんがやって来る。

その村は湿地帯で、田んぼといえば底無しの泥沼(というより、浮稲をする深い水田という感じだった
ように記憶しています。)
に丸太を何本も沈めて足掛かりにしているというものだった。
無論、踏み外せば沈んで、それっきり浮かび上がっては来られない。

若い嫁さんは、慣れない作業を必死でこなしていた。
姑は厳しく、嫁さんは決められた作業が終わるまでは、家に帰って休む事も出来なかった。

ただ、夫は優しい男で、遅くに戻る嫁さんの為に、そっと風呂を沸かしてくれる。
そんな小さな幸せを頼りに、嫁さんは毎日重労働に耐えていた。

ところがある日、どうしても田植えが終わらず、嫁さんはたった一人で、暗くなるまで泥田に残っていた。


疲労と視界の悪さに、ついふらっとした嫁さんがはっと気付くと、足の裏には丸太の感触がなかった・・・・




夫は、嫁さんの帰りがあまりにも遅いので、家を抜け出して泥田に迎えに行った。

すると、煌々と月に照らされて、嫁さんがいつも被っていた・・・まだ新しい菅笠だけが、
ぽっかりと泥田の真ん中に浮かんでいた。



出典:2ちゃんねるオカルト板『まんが日本むかしばなしの怖い話 』スレより転載

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