飯降山

171 名前: ミスティーブルー投稿日: 01/09/14 12:12

山の中を若い尼さんと中年の尼さん、年を取った尼さんが修行の為に山に入った。

一番年配の尼さんは本当に仏様のような顔をしていて・・・
仏門に入ると こういうお顔になるのだと出会った猟師は想う。

殺生をしてはならない修行なのできのこや木の実を食べていて、
時折猟師はさつまいもが2本ほど入った弁当を尼さん達にあげていた。



ある日、若い尼さんが空から光の帯が出て何かが降ってくるのを見る。
その方向に行ってみるとなんと切り株の上にオニギリが3つ置いてある。

しかし中年の尼さんと若い尼さんは仲が悪いのか、中年の尼さんは若い尼さんの言葉を信じない。

言い合いをするが年配の尼さんの「これは天の恵みです。ありがたく頂きましょう。」との言葉で
3人はオニギリを食べる。

不思議なことにその切り株の上には毎日三つの握り飯が出現した。

山にやってきた猟師は「ありゃ?きのこがへっとらんじゃないか!一体尼さん達何を食うとるんじゃ?」
と歩く尼さんを不思議に見つめる。

そしてまたも若い尼さんが、キナ臭い匂いがするので言ってみると、今度は焚き火の跡と鳥の骨を見つける。

年配の尼さんは猟師が食べたのだと言うが、
若い尼さんは「あの人(中年の尼さん)は握り飯をもっと欲しいと言っていた。」 と言うので
年配の尼さんが中年の尼さんを連れてくる。

当然、若い尼さんとやったやっていないの言い争いになってしまった。
年配の尼さんは「鳥の為にお経を読んであげましょう。」と言って
崖の所で三人並んでお経を読む。


だが・・・
年配の尼さんと中年の尼さんの二人は自分の取り分を増やす為に一番若い尼さんを崖の上から突き落として
殺してしまう。


これからは握り飯をもっと多く食べることが出来ると喜ぶ二人。
ところが・・握り飯は二人分しか降ってこなくなってしまった。


そうして、ついに年配の尼さんが中年の尼さんを崖から突き落として殺してしまう。


切り株のところに向かう尼さん。
しかし・・・握り飯はとうとう一個も降って来なくなってしまったのだった。

やがて長い冬がやって来る。



猟師は尼さん達の事が気がかりだったが、雪に阻まれて山に入る事が出来ない。



そしてとうとう春が来た。


猟師が庭で薪を割っていると、年配の尼さんが降りてきて姿をあらわす。
茫然とする猟師。

「この山を飯の降る山と書いて飯降山(いぶりやま)と言うようになった。
 むかーしむかしの事じゃった。」


(終わり)


出典:2ちゃんねるオカルト板『まんが日本むかしばなしの怖い話 』スレより転載

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