岩井のおかねさん

200 名前: ミスティーブルー投稿日: 01/09/18 15:17


岩井という所におかねさんという怪力の女の猟師さんが住んでいて、
どんなに大きないのししでも平気で担げる人であった。


ある日、村外れの空き家から毎夜「ビヨーンビヨーン」という変な音がするので
村人が見に行くと「ぎゃああああ〜〜〜」という悲鳴と共に、恐怖で抜け殻になって帰ってきた。

猟師達が退治に行っても結果は同じで、ついにおかねさんが行く事になった。


行く前に村長に「明日の朝になったら化け物の正体がわかる。」と言い残す。

空き家に着いたおかねさんが部屋を覗くと一人のお婆さんが糸を紡いでいる。
怪奇な音は糸を紡ぐ時の音だったのだ。

中に入ろうとした時、みのの端が引っかかって「バシッ」と音を立ててしまった。

「だ〜〜れじゃあ〜〜〜!!!!」

お婆さんは顔だけを大きく前に突き出す。
目は見開いて口は耳まで裂けていて牙がむき出しになっている。

全身の血が逆流したおかねさんだったが、肝っ魂が据わっているので動じずに中に入る。

鉄砲を構えて金具を覗くと糸を紡いでいるお婆さんが透けて見える。銃を取ると何とも無い。
試しに2発打つと何と体を通り抜けてしまう。

「これはまやかしだ!!」と気づいたおかねさんがロウソクの明かりを金具から覗くと、
何とロウソクのそばで大きな古ダヌキがお婆さんと同じ服を着て糸を紡いで、
横であの お婆さんが糸を紡いでいたのだ。

「こりゃあたまげた化かしかたじゃ!!」

しかしおかねさんは慌てずに「落ち着いて獲物を狙うんじゃ。ひゅうひゅう。」と言って
ロウソクの火めがけて鉄砲を撃つと、「ぎゃあああああああああ〜〜〜」という悲鳴が響いた。


翌朝、村人達が空き家に行ってみると、子牛程もあるたぬきが眉間を打たれて死んでいた。

感心した人達が「どうやって退治したんじゃ?」と尋ねると
「落ち着いて獲物を狙うんじゃ。ひゅうひゅう。」と言っただけだった。


とまあこんなとこです。でもお婆さんの顔は恐かったです。夢に出て魘されました。
一番恐かった話ですよこれ。



出典:2ちゃんねるオカルト板『まんが日本むかしばなしの怖い話 』スレより転載


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