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十六人谷

67 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/06/01 21:42

十六人谷は日本昔話史上、一番恐ろしい話だよ…。
今見ても怖くてしょうがない。


太助という一人の老人が、女の人に自分が若い頃の話を聞かせているところから始まります。


最初に太助じいさんは、山にうわばみが出たという話をします。

うわばみから命を守るために誰でも山に行く時は必ず山刀を持っていかなければならないのに、
太助じいさんの友人は「うわばみなんかいるわけない」とか言って山刀を持って行きませんでした。

当時、まだ若者だった太助じいさんは友人の言葉に呆れつつ、先に山小屋に戻りました。


山小屋に戻って友人を待っていると、その友人は何事も無かったように元気に戻って来ました。
「ホラ見ろ、うわばみなんていやしないだろ」と彼が笑いながら話していると、その後ろにうわばみの姿が。

太助は驚いて声も出ず、山刀を鞘から引き抜きました。
友人は怪訝に思い「なんだ?太助」と言い、ふいに後ろを振り向きました。

その瞬間小屋は大きな音と友人の叫び声と共にバラバラに吹き飛びました。
太助は遠くに飛ばされましたが、山刀を持っていた為助かったのです。

山小屋があった場所を見るとそこにはゆっくりと蠢くうわばみの巨体がズルズルと這っていました。
そして、その場には友人の姿はもう無かったのです。


一端、そこで太助じいさんの話は終わります。


しかし「そのうわばみよりも、もっと恐ろしいものがこの山にはいるのじゃ・・・」と次の話を女の人に
話し始める太助じいさんでしたが、向かいに住んでいるおばさん(予想するに太助じいさんの娘)が
お昼ご飯のおにぎりを持ってやって来たので、話はそこで途切れます。


ところが不思議なことに「おじいちゃんご飯よ」と戸を開けて見ると、女の人はいなくなっていました。


おにぎりを老人の家に届けた後でおばさんは考えました。

おばさんは話し声が老人の家から聞こえてきたので 『客でも来ているのかと思ったのに・・・・』と
不思議に感じたのです。


しかしおばさんが家から出て行った後、やはり女の人は太助じいさんの家の中にいました。
女の人はおじいさんにおにぎりを持って行こうとしましたが、太助じいさんは首を振りました。

間を置いて、太助じいさんはさっきの話の続きを話し始めました。



その話は先程のうわばみの話の後日談でした。

友人の通夜の晩に大酒を飲んで酔っ払って帰って来た太助は、そのまま床に突っ伏して眠ろうとしましたが、
何かの気配を感じて起き上がりました。

「誰だ?人の家に黙って入ってる奴は?」まだ若く肝の据わっていた太助は気配に向かって問いかけました。
するとそこには美しい女の人が立っていました。

「聞く所によると、明日は山に入るとの事。そこにある柳の木だけは切ってくれるな・・・」
と、女の人は言いました。

「そりゃ一体どういう事だ!?柳の木でもなんでも切ってくれる!」
太助は酔った勢いもあってか、女の人に怒鳴りました。

「頼む、頼む・・・・・」女の人はしきりに頼み込みます。

「おら一人で行くんじゃねえ!みんなで行くんだ!」
自分一人に頼んでもどうにもならない、という事を言いたかったのか、太助は叫びます。

しかし、女の人はまるで老人の言っていることを解っていないのか
「頼みます・・・・・頼みましたよ・・・・・」と弱々しく言いながら太助の横を通り過ぎ、スッと消えたのでした。

流石に恐ろしくなった太助は家の外へ走り出しました。


あくる日、太助は十五人の仲間と谷へ入りました。

そこにはとても大きく、立派な柳の木がたっています。

ふと、太助は自分のいる場所から坂の下の方を見やりました。

『夕べの女だ!』


そこには昨夜の女の人が立っていて、老人にお辞儀をしたあとで・・またスッと消えてしまったのです。


『なんでこんな所にいる!?』と思いながら、坂を駆け降りましたが昨夜の女の人はもうそこにはいません。

「なーにしとるんじゃ、さ、仕事せんかい」と、上から親方が太助を呼びました。
その声でハッと我に返った太助は叫びました。
「ああ!親方!親方!その木は切らんでくれ!!」


柳の木はたいそう立派だったので仲間のきこり達は大喜びでした。
だからまだ若造の太助の話なんて聞く耳を持ちません。

「やめろー!!」

太助は必至になって叫びましたが、無残にも柳の木は切り倒されてしまったのです。



その夜。

山小屋に戻った太助と十五人の仲間は疲れていたのか急に眠気に襲われて、
一人残らず眠りこけてしまいました。


しばらく経った時、山小屋の戸が開く音がして太助は目を覚ましたが、他の仲間は起きる気配すらありません。


戸の方を見ると、昼間の女の人がそこにはいました。
女の人は静かに、一歩づつ、中に入って来ました。


『昼間の女だ・・・!』
太助は恐ろしくなり、その場で気を失ってしまいました。


ですが、 本当に恐ろしいのはその後のことだったのです。




妙な物音で太助は目が覚めました。

目を開けた時、そこには信じられないような光景が広がっていました。


女の人が仲間の一人の口に自分の口を直接突っ込み、グチュグチュ音をたてながら舌を引き抜き、
食べていたのです。


太助の視線に気付いた女の人は顔を上げ、口元だけを歪めて太助に笑い掛けました。
その口からは多量の血が滴り落ちていました。

「五助!せい吉!!」

太助は必至になって仲間の名前を呼びましたが、仲間は既に女の人に舌を抜かれ・・・
全員が白目をむいて死んでいたのです。



女の人は太助に近づき言います。

「あんたに頼めば・・・こんなことにならずに済むと思ったのに・・・・。
あんたに頼めば・・・こんなことにならずに済むと思ったのに・・・・・。」

女の人はどんどん太助に近づいて来て、太助の舌も抜こうとしました。

太助は怯えながらも側に置いてあった山刀で女の人を斬り付け、命辛々その場から逃げ出しました。




「・・・あれから五十年・・・。今思い出しても、あれほど恐ろしい者はなかった。
しかし、あれほど美しい者もわしは見たことがない。
もしできるならば、死ぬ前にもう一度あの女に会いたいもんじゃ・・・。」

と今は年老いた太助じいさんはしみじみと、話をしていた女の人に語りかけました。


それを聞いて、今までお爺さんの話を黙ってきいていた若い娘がゆっくり振り返ります。

その顔はまぎれもなく・・・



逆光のなかに浮かぶ白い笑顔。



夕方、向かいのおばさんが夕食を老人の家に持って来ました。

「おじいちゃん、夕ご飯持って来たわよ。おじいちゃん?


・・・・いやああ!し、舌が無い!じいさまの口に舌が無い!!」



家の中を覗き込んだおばさんは、舌を引き抜かれて死んでいる太助じいさんの死体を見つけて叫びました。


しかし・・・・


太助じいさんの死体の表情は、どこか恍惚として何かに話し掛けているような顔をしていたということです。
そして、この事件があった谷は十六人谷と名付けられたそうです。


(終わり)



出典:2ちゃんねるオカルト板『【懐かしい】アニメ日本昔話はオカルト満載【語れ】』より転載

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