雪むかし

演出・作画● 小原秀一
文芸● 沖島 勲
美術● 青木 稔
話の舞台● 北国
初回放送日● 1989(平成元)年2月11日
話の内容● 悲しい話

昔、北国では降り続く雪がまだ本当に白い色ではなかったという。そんな北国の大きな庄屋の所に、遠い村からまだ幼い娘が
奉公に出されてやって来る。朝の水汲み・炊事・洗濯は辛かったが、村にいる時を思えば楽な生活だったので娘はよく働いた。
ある日のこと。近在の者を招いての宴会が開かれ、朝から料理の下ごしらえに忙しく働いていた下働きの者たちが遅い昼食を
とっていると、ボロボロの衣をまとった旅の僧がやって来て「何か食べ物を恵んでもらえないでしょうか」と頼む。しかし、在所で
一番の器量良しでありながら心の冷たいこの家の女主人は「北の国の冬に人様に恵む程の食べ物なんざ有る訳なかろぅ?」
と、素気なく断ってしまった。それを見ていた心の優しい娘は、吹雪の中を旅の僧の後を追い、自分の昼飯で作ったおにぎりを
差し出す。旅の僧は「旅の途中で何も無いが、握り飯のお礼です・・」と、鈴と一緒に綺麗な赤い布を娘に渡すと去っていった。
やがて屋敷に戻った娘は一人で後片付けを始めたが、赤い布を汁のはいった茶碗に落としてしまい慌てて拾う。ところが布は
少しも汚れていないばかりか、布の落ちた茶碗だけが洗ってもいないのに綺麗になっていた。不思議に思った娘が、別の皿を
拭いてみると同じように綺麗になった。さらに後片付けを終えて布の感触を頬で楽しんでいた娘の顔の吹き出物までもが消え、
娘は見違えるように美しくなったのだった。しかし、この話を聞きつけた女主人は、娘を問いただし布と鈴を取り上げてしまった。
その後自分の部屋に戻った女主人は、鏡の前で娘と同じように不思議な布で顔を拭く。すると・・・