(ナレーション:常田富士夫さん)






かわべ〜のお春〜はど〜こへ行った♪

・・・おっかぁに貰った、ぽっく〜り持〜って♪

チロリン・・チロリン、鈴鳴らせ〜ぇ〜ぇ〜・・・♪


今泉の村へ、子守に行ったぁ〜〜・・・・♪



子守は辛い、あ〜さは四時起き♪

ひ〜る〜はむずがる、子供のお守り♪

よ〜るは夜なべ仕事で遅くまで〜〜ぇ〜〜・・・・♪



そ〜〜れでこ〜の目はしょぼしょぼだ〜〜・・・・♪








昔・・・

千葉のある村に貧しい家族が住んでおった・・・。




わずかばかりの田や畑も、地主からの借り物で・・・

採れた物の半分は・・・地主の家に、収めねば・・ならなかった。




一日中、泥んこになって働いても・・・

その日の食い物にも困るありさまで・・・


その上おっ父は病気で、母親一人の働きでは・・

どうすることも・・できんかった。







(狭い家の中。病気で寝たきりのお春の父。

 お春の母はまだ小さい子供達をあやしながら、重い口を開く。)





母「・・・お春。」


お春「何だ、おっかぁ?」


母「お前は兄弟の中で一番の年上だ・・・。


  頼むから隣村の今泉の、大地主の家に・・

  子守奉公に行ってくんねぇか・・・?


  おっとうの病を治すには、高い薬も買わねばなんねぇ・・・


  それにまだ小せぇこの子たちも、おるしよぉ・・・・」





いつもは・・口の重たいおっかぁが辛そうにそう言った・・・。




お春「おら守り子に行くよ。
   
   おっとうの病が治るまでいつまででも、行ってるだよ。 
   
   おっかぁ・・・そんなに心配しねぇで、いいよー。」






その夜お春は・・・

七つの祝いに買ってもらった大事な大事な、ぽっくりを

枕元に置いて眠った。。。





おっかぁは辛い、気持ちを抑えるように・・

夜なべ仕事のワラ打ちを、いつまでも続けておった・・・。







次の日・・・

隣村の今泉から使いの者が、子守奉公の前金と引き換えに・・

お春を、迎えにやって来た・・。




使いの男「さぁ、行くぞぅ。」






そして、お春は・・・村境の橋を渡って、行った・・・。











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