|
|
|
|
|
昔・・・
火種は一年中絶やしてはいけない
ものでした。 |
|
|
|
そして、その火種を絶やさないように
することは・・・その家のおかみさんの
大事な仕事だったのです。 |
|
|
|
凍えるように寒い大晦日の
晩のことです。 |
|
|
|
ある一軒の貧しい農家で・・・ |
|
|
|
姑さんが・・・
まだその家に来てから間もない
若い嫁さんに話をしていました。 |
|
|
|
「のぅ・・・これからはあんたが
囲炉裏の火を絶やさんように
気を付けてや。」 |
|
|
|
「決して絶やしてはいかんで・・。」 |
|
|
|
「へぇ・・。」 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
「・・・。」 |
|
|
|
「・・・。」 |
|
|
|
こうして・・・ |
|
|
|
この世から、火種を絶やさんという
ならわしは・・・ |
|
|
|
この家のお嫁さんの手に
預けられました・・。 |
|
|
|
「スー・・・スー・・・」 |
|
|
|
「グゥー・・・グゥー・・・」 |
|
|
|
「・・・」 |
|
|
|
|
|
|
|
若いお嫁さんは・・・
|
|
|
|
その夜・・・・囲炉裏の火種が
消えてしまわないかと心配で、
寝付かれませんでした。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
(火箸を持つ音)カチャリ・・・ |
|
|
|
カチャ・・・ |
|
|
|
カチャ・・・ |