メキメキメキメキメキ、ザザーン!!
(かなり太い竹が倒れる。離れた所で切っている喜助に呼びかける太助。)
太助「さぁー、こんだけありゃー、十分じゃろー!喜助ー、そっちはー、どうじゃあー!?」
喜助「こっちもー・・もーう、すぐじゃー!!」
太助「急げやー!さっきからー、何やら雲行きが怪しゅうなってー、きたぞ!」
(その途端パラパラと雨が降り出してくる。太助は雨に気づいて驚く)
太助「あー!?・・・こりゃー、いかん。もう降ってきた。」
(喜助も作業を止めて慌てて太助のところに走ってくる。
雨は一段と激しくなり、ゴロゴロと雷が鳴りはじめる)
太助「こりゃー、いかん。。本降りになってきた。」
喜助「どうする太助ー?」
太助「どうするもこうするも、やむのを待つしかねぇじゃろぅ・・。」
(と、その時稲妻が走り雷鳴が轟く!)
喜助「うわぁー!何じゃーぃ!?」
太助「何をびくびくしておるんじゃ。ただの雷じゃ。」
(ザーザーと激しい雨の音が辺り一帯を包む・・・
そんな中、ザッ、ザッ、ザッ、と誰かの歩く音と笑い声が聞こえてくる・・)
??「・・・・・・・ほっほっほっほっ・・・・・・・・・」
喜助「!!?・・・太助、今笑い声が・・・聞こえんかったかー?」
太助「いや・・・・何も、聞こえんかった。。」
(雨はいっこうに止む気配がなくさらに激しさを増す。
そしてまたもや暗い竹林の中に笑い声が響く)
??「ほっほっほっほっほっ・・・・・・・・」
喜助「ほれー、やっぱり聞こえてくるー・・・・」
??「ほっほっほっほっほっほっほっ・・・・・・・・・・」
(喜助は不安そうな表情で太助に問いただす)
喜助「山姫じゃぁ、ねぇのかー?」
??「ほっほっほっほっほっほっほっほっほっ・・・・・・」
(稲妻が何度も光り雷鳴が響きわたる。
喜助と太助が気づいた時には既に遅く、山姫がすぐ近くに来ていたのだ!!)
喜助「や、山姫じゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
太助「あわ、あわわわわわわわ・・・・・・」
山姫「・・ほっ・・・ほっ・・・ほっ・・・ほっ・・・ほっ・・・」
(恐ろしさの余り喜助と太助はガタガタ震えながら声にならない悲鳴を上げる。
笑いながら近づいてくる山姫!)
山姫「ほっほっほっほっほっほっほっ・・・・・ほっ・・・ほっ・・・ほっ・・・」
(喜助はとっさに身を伏せたが、太助は金縛りにあったように動けず山姫を見つめている)
喜助「太助、伏せるんじゃ!山姫見つめちゃぁいかん!!!」
(山姫は笑いながらどんどん近づく。
太助は後ずさりして切った竹につまづいて倒れてしまい、山姫が目の前に!!)
山姫「ほっほっほっほっほっほっ・・・・!」
(太助は目の前で笑い続ける山姫に手を合わせて叫ぶ!)
太助「すまん!竹を黙って切って、悪かった!
これは、返す。ここにも2度と来んから、許してくれぇー!!」
山姫「ほっほっほっほっほっ・・ほっほっほっほっほっほっ!!
・・・ほっほっほっほっ・・・ぉほほほほほほほっ」
(なおも不気味に笑い続ける山姫。
太助は顔を上げて山姫を見つめていたが、山姫の笑いは止まらない・・・・)
山姫「ほっほっほっほっ・・・・ぉほほほほほほっ・・・・」
太助「・ぁっ・・・・・ぇへっ、ぁへへっ・・・」
山姫「ぉほほほほほほほっ・・・!ぉほほほほほほほっ・・・!」
太助「ぁははっ、はっ・・んへへへへっへっへっっ・・・」
(笑い続ける山姫に少し安心した太助は、思わず笑い返してしまう!!!!・・・と、その時!)
太助「えへっ、へへへへっ!あっはっはっはっ!!」
山姫「おーっほっほっほっほっほっ!!
おーーっほっほっほっほっほっほっほっほっ!!」
(山姫が一際甲高い大声で笑った次の瞬間、
稲妻が辺りを包み、太助が眩しい光に包まれ絶叫する!!!)
太助「うわあああぁぁぁぁぁーーー!!!!!」
・・・・・・・・・・(そしてシーン、と静かになる・・・・・・・・・・伏せていた顔を上げる喜助)
喜助「・・・・太助?・・太助?・・・・・・太助がおらん、どこいったんじゃ。
太助ー!太助ーーー!!太助ぇーーーーー!!!」
喜助が、どこをどう探しても・・・太助の姿は、見あたらんかった。。。。。。
途方に暮れた喜助は、日の落ちかけた山道を仕方なく・・下っていった。
(歩きながら、喜助が呟く。)
喜助「やっぱり下の方の小さな竹で・・・我慢するんじゃった。。。」
(喜助が沢のそばを通りかかった時、太助の呻き声がする。
喜助ははっとして、声のした方に目をやる。)
太助「う・・・うーん・・・・・」
(見ると、太助が倒れている。走り寄って太助に声をかける喜助)
喜助「太助ー!太助!しっかりせんかー!太助!」
太助「・・・??・・・喜助かぁ?・・・・・・やっぱり・・お前の言うた通りじゃった・・・・・・・・・
山は怖ぇ・・・・・・・・・山は・・怖ぇ・・・」
喜助は、山は怖ぇ山は怖ぇと・・
呟き続ける太助を背負って、山道を下っていった。
この話を聞いて・・・島の人達は
「それはきっと・・山姫じゃ。山姫の怒りに触れたんじゃ。。」と、噂しあった。
それからというもの、島の人達は・・
山奥深く立ち入って山を荒らすようなことは、決してしなかったと・・いうことじゃ。。。
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