婆さんの教えてくれた家は、村外れのさみしい所にありました。
六部「随分さみしそうな・・・家じゃなぁ。」
(戸が開いていたので、六部は家の中に入って爺さんにお願いする)
六部「あのー、六部ですが・・・
今夜一晩、どこでもええですから泊めてくれませんか?
お願えしまーす。」
(夕食を食べていたお爺さんは、家の入り口に立っている六部に気付く。)
お爺さん「あっ、六部どんかぃ?外はひどい雨じゃなぁ。
あぁ泊まっていったらええよ。汚ねぇところじゃが・・・・。
あー、あがって下され。」
六部「そうですか、助かります。はあぁ・・・
(その家の飼い猫をちょっと見て、嬉しそうに)えへへへへへ・・・」
爺さん「ろくなもんがねぇが・・・・」
(と言って爺さんはご飯、味噌汁、焼き魚を持ってくる)
六部「うわ、これはご馳走じゃ。尾頭付きですなぁ。
(ゴクリ、と生唾を飲み込んで)
お宅の婆さは料理がお上手ですねぇ。」
爺さん「・・・これはわしが作ったんじゃー。」
六部「(飛び上がって)ええ!?全部、爺さんがー?
・・・して、婆さんは?」
爺さん「・・婆さんかい?
・・・・・・婆さんは、この間、死んじまった。。。」
六部「そうだったですか。それはお気の毒に・・・・」
(飯を食べながら、お婆さんの思い出話をするお爺さん)
爺さん「婆は、気のいいやつじゃった・・・。
何をするにも、何処に行くにも・・・一緒でなぁ。
ずーっと離れたことはなかった。。」
六部「そうですかい。仲が良かったんですねぇ・・・」
爺さん「そりゃーもうー、人もうらやむほどじゃった。
それがぽっくり死んじまった。。
わしより先に逝くなんて、可哀想なやつじゃ。うっぅっぅ・・・」
(食事を終え、食器を片付けて六部に話しかける爺さん)
爺さん「じゃぁ、隣に布団敷いておくでゆっくり休んでくれや。
わしは・・・・ここで寝るで。。」
(そう言って爺さんは隣の自分の部屋に入っていき布団を敷いてくれた。)
こうして六部どんは、やっと・・宿を取ることが出来ました。
その夜は、お客の六部どんを自分の部屋に寝かせて・・
爺さんは囲炉裏端で寝ました。